2021/12/25(Sat)電工二種試験対策にやったことメモ(実技試験編)
2021/12/25 23:53
実技…?
これまで実技のある試験ってあんまり縁が無かったわけですが……、知識の筆記試験をパスしたら、与えられた材料を使って実際に結線を行う実技試験が待ってます。先輩諸氏の呟きやサイトを見る限り、合格率はほどほど高いとはいえ、やっぱり手をちゃんと動かして時間内に作品を仕上げることが出来ないと、なかなかぶっつけ本番ではミスをやってしまいがちだそうで。
実技の対策方法
色々あると思いますが、やっぱり実技なんで本買って読めば良いって話でもないと思い、思い切って参考書は買わず、替わりにYouTubeで製作手順の確認、ホームセンターで材料買ってきて練習、の2つで乗り切りました。時系列で書くと
- 8/30:試験申込
- 9/12:材料と工具購入
- 10/24:筆記試験
- 12/19:実技試験
工具・小物の購入
基本的なドライバーセット(HOZANのS-34の旧モデル*1)と小型ニッパーN-31は持っていたので、追加で電工用の必須工具と小物を買い足しました。- 圧着ペンチ P-737 5500円
- VVFストリッパー P-958 2900円
- 合格マルチツール DK-200 700円
- 合格クリップ P-926 500円
- 定規マスキングテープ MTEX1P96 190円
小型な分、リングスリーブの中サイズを圧着するには力が必要になるので、大型の方がやりやすいという人もいますが、まあ端っこを両手で握れば大丈夫です。最近、小/中対応のP-738という製品も出たようです。若干P-737より値段が高いですが、柄が長いようなので、より小さい力で圧着できるってことでしょうかね。心配な方はこちらを。
ところで……最初に圧着ペンチを袋から出したとき、どうすれば圧着可能な状態に出来るのか分からなくて*2、引っ張って開けよう→開かない……とアホやってました。取説はWebで!みたいになってましたけど、一文くらい書いておいて欲しかったな…
逆に買わなかったものと理由は…
- ウォーターポンププライヤー
- これが必要なほど、コネクタを堅く締める必要はないし、アウトレットボックスが出題されない場合は重たくて邪魔なので……。一応、合格マルチツールで代用もできます。
- 電工ナイフ
- ワイヤーストリップは替わりにVVFストリッパーがあれば十分事足ります。
材料の購入
先にも書いたように、自分で材料を買いに行くというのはホント良い勉強になりました。各種サイトで例題13問 1回分、2回分なんてタイトルついて2万や3万の価格帯で売ってますが、大きめのホームセンターが近くにあったり、時間的余裕があるのであれば、敢えてアレに手を出す必要は無いかもしれません。
自分で買ったメリット
- たまたま実家に転がってた余剰部材を活用し、足りない部品だけ買うことでお金を節約できた
- ブッシングやリングスリーブなど、試験で使わないサイズやバリエーションの中から、どうやって目的の種類を探せばよいか勉強になった
もし部材セットを買っていたら…
- 材料を買いに行く時間を節約できる(必要部材のリストを作って、手持ちの部材を間引き、リストを作って買いに行くという手間も)
- 青シースのVVFケーブル、VVRケーブル、短めのE19金属管などホームセンターに売っていない部材も含まれているので、試験に近い形の練習ができる
- EM-EEFケーブル 50cm
- VVFケーブル 1.6mm-2C 5m (結局足りず、さらにヨドバシで10m追加)
- VVFケーブル 1.6mm-3C 5m
- VVFケーブル 2.0mm-2C 1.5m
- VVFケーブル 2.0mm-3C 1.5m
- リングスリーブ 小 100個
- リングスリーブ 中 15個
- PF管コネクタ
- 金属管コネクタ
- パイロットランプ
- 単極スイッチ
- 3路スイッチ
- 4路スイッチ
- ホタルスイッチ
- 埋込コンセント
- 接地極付接地端子付コンセント
- 接地極付コンセント 20A 250V
- ダブルコンセント
- 絶縁ブッシング
- 引掛シーリング(丸)
- ゴムブッシング 19mm用 3個
- ゴムブッシング 25mm用 3個
- 差込型コネクタ 2本用 2個
- 差込型コネクタ 3本用 2個
ケーブル類は手持ちが一切無かったのですが、追加することも考えて控えめに新品購入(でも結局1.6mm-2Cの10mしか追加してない)、端子台・アウトレットボックス・ランプレセプタクル・引掛シーリング(角)・取付連用枠・露出コンセント・各種差込コネクタは実家の余り物を再利用。IV線はVVFから取り出して、「この線は赤色だけど、本当は緑でアース用IV線」という具合にしたので、わざわざ買っていません。
色々作ってみた結果の感想としては、
- ケーブル類はちょっと長めに裁断すれば意外と使い回しできるのですが、中古ケーブルは工作難易度が上がります。
というのは、ねじれ癖がついたケーブルをストリップしたり、真っ直ぐでない心線をリングスリーブでかしめるので。でも、リカバリーの練習にもなるし、実際に工事するときは新品のケーブルばかりでなく、既設のコンセントを交換したりするだろうから、慣れておいて損は無いですね。 - VVF 1.6mm-2Cは一番よく使います。さすがに5mでは13問を一通り作るのは難しく(DK-51セットでは本来20m入っている)、他メーカのケーブルを10m追加購入したところ、ストリップ時の被覆の滑りが悪く、部材によってストリップの加減を変えないといけないことに気づくことが出来ました。結局トータルで10mくらい使ったかな…
- VVF 2.0mm-2Cは、1.5mではちょっと足り苦しかったけど、基本電源線としてしか使わないので、まあ追加購入する程ではなかったです。
- リングスリーブ 小は、意外と使います。そもそも、ばら売りor100個単位で、一通り作るのに50個あれば十分ぽかったけれど、思い切って100個入りセットを買いました。たくさん余るかと思っていたのですが、再利用できない&刻印間違いやかしめ不足などの失敗もあり、結局合計80個くらい使っていたかな。逆に中サイズは、殆ど設問がないので半分の7個くらいで十分だった印象です。
- PF管コネクタや金属管コネクタは、実際の管は買えなかったものの、アウトレットボックスとの接続・ねじ切るねじの力加減を勉強するのに役立ちました。合格クリップで回してみたところ、意外とアウトレットボックスと干渉して回しづらいし、逆に手締めでも問題無く締まることがわかりました。
- 4路スイッチや250Vコンセントは割と高価*4なので、3路や100V 15Aコンセントを代用してもよかったかもしれないけれど、ストリップ幅が3路と4路で異なっていたり、2.0mm3芯の電線をねじ込むのが非常に堅かったりするのを経験できたのは良かったかと。
- 買えなかったVVRケーブルは試験では出題されなかったけれど、被覆の剥き方は独特なので、YouTubeで見ておくべし。
- 買わなかった部材も一通り眺めたので、筆記試験の写真鑑別の勉強にもなります。
YouTubeの学習
今の時代はコレがあるのがとっても助かりますね。参考書や部材セットを買うとDVDが添付されているものもあるようですが、私は半端に材料を買い足したので映像はYouTubeで補いました。で、これも色々コンテンツがありますが、一番良かったのは電気工事士奪取プロジェクトのオンデマンド今井さんによる解説動画でした。
この方、実体複線図という理論を提唱?している方で、まあつまり試験の時に複線図を書かなくても、結線するグループを順に考えていけば良いという話なのですが、本当に参考になりました。実際、私も練習、本番ともに複線図を一度たりとも書いていません。というか、書く必要無く、配線出来てしまいます。時間節約になるので必見ですね。
とはいえ、1問40分の制限時間で、例題が13種類もあるので、全部動画を見てるとすごい時間がかかります。スキマ時間に倍速にして見ると良いでしょう。
初めに見たときは、「なんでその長さにストリップするのか?」「VVFストリッパーの目盛りはどうやって使えばよいのか」、「VVRケーブルはなんで1cm多めにストリップするのか」等、いろいろ分からない事も出てきますが、それも手を動かしてみたり、一通りみたり、検索していくとだんだん理由というか、テクニックが分かってきます。こうして印象づける事が大事ですね。
あと、オンデマンド今井さんの動画ですごいなと思ったのは、解説しながら30分前後で作れていることに加え、いつ見ても作業台が綺麗なことです。HOZANの解説動画もちらっと見たのですが、まず(自分にとっては不要な)複線図を作る工程が入っていること、シースを工具で挟んだまま引っ張って剥いていたり*5、散らかり放題なのが気になって、こちらは殆ど見ませんでした。
いざ練習!
材料も早めに購入、YouTubeで一通り予習したぞっと、最初から時間を測って*6やっていたのですが、頭に作業手順が入っていてもやっぱり最初の2問位は40分をちょっとオーバーして45分くらい掛かりました。原因は色々あって…私の場合、慣れてくると最終的に30分前後になりました。早い人は20分台前半で仕上げてしまうそうですけど、どうやったらそこまでサクサクできるのやら……。多分、輪作りが一発で出来ることと、道具の持ち替えが最小になるように動けたら、かなあ。
狭い作業台
これはハズレの試験会場、つまり作業台が極端に狭い場所だった場合を想定しての訓練です。たまたま40cm×30cmという小さなカッターボードを持っていたので、この上に材料と工具を全て並べて(もちろん作品ははみ出しますが)、ぶつけたりひっくり返したりしないように作業していました……。かなり狭いです。さらに、リングスリーブや差込型コネクタは埋もれやすい・落としやすいので、注意です。
ワイヤーストリッパー
線を加工するだけ……な道具ですが、実は思った以上に繊細でした!ぐっと力を入れたり、引き抜く際に開きが甘いと心線被覆まで傷を付けたり、芯線が穴に綺麗に嵌まらなくて傷を付けたり……とにかく力加減の練習が要ります。
輪作り
確か13問中12問で「輪作り」と呼ばれる、芯線を丸く加工してネジ止めする加工技術が求められます。先ほどのYouTubeのオンデマンド今井さんはいとも簡単にやっているのですが、絶縁被覆の残り具合をいい感じにしつつ(カバーが閉まらない程たるんではいけない)、ネジに被覆が噛まないようにするのは練習あるのみ!勿論、輪のサイズ、重ならないように、傷つけないように、巻き付け方向、極性…等々、初見でやると間違えるポイントが山ほどあります。
力の入れ具合を間違えて、ワイヤーストリッパーの先で指の腹をつまんでしまったときは飛び上がりました……(ドジ)無事血豆が出来ましたとさ。
配線間違いとやり直し
電源の黒白を基準に、実体複線図を考えて冷静に結線していけばよいのですが、問題それぞれ「A部分はリングスリーブ、B部分は差し込みコネクタを使うこと」だったり「4本結線は差込型コネクタ、それ以外はリングスリーブ」のような指示があるため、結線する前から『どうやって繋ぐ』のかを意識する必要があります。被覆を剥く長さも変わってくるので。差込型コネクタのはめ直しを行うと芯線に傷がついた状態になり、コネクタ側も痛むので、実際の工事では新しい物に変える方が一般的だと思いますが*7、練習は再利用してナンボなので抜き外しのテクも必要です。
はじめ、適当な長さを残して電線を切り、ペンチで回しながら引き抜いてましたが、被覆だけ抜けたり、電線が穴の途中で折れて引っ張るのに苦労したり(ピンセットでつまんで抜こうとしたら、ピンセットで指を刺した……痛ァッ!)、思い切り引っ張った際にアウトレットボックスに手をぶつけてザックリ切り傷(4mm x 10mm)を作ったりと、怪我して中断が何度かありました。このアウトレットボックスの怪我が一番酷く、1週間くらいキズパワーパッドを付けて回復してました……。
話を戻して……最終的に、差込型コネクタを抜く際には、電線を回すのでは無く、コネクタ自体をねじりまくって抜く方向に落ち着きました。正しい方法か分かりませんけど。
一度使ったVVFケーブルを再利用するのは折れ癖を直すところからなので、結構大変です。
シースを剥いても、新品時のように外れないことが多く、ニッパでちまちま剥いて時間をかけてしまったり、指に刺してしまったり(カッターのように使ってはダメ)、色々やらかしました。
最終的に、ワイヤーストリッパーだけでシースが取れないときは、カッターを使ってシースを割ってました。(本来は電工ナイフが望ましい)
採点基準を知ること
作品の答え合わせをやるとき、結線が正しいかという点を気にされる方は多いと思いますが、電気工事士技能試験欠陥の判断基準 と 電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイントは必ず読んでおいて下さい。というのも「軽欠陥という判定がなくなり、欠陥は一発アウト」だからです。結線が合っていても、差込型コネクタの差し込みが甘かったり、リングスリーブの上端からの飛び出しが規定以上だったり、心線のはみ出しがありすぎたりとアウトになる条件を知っておく必要があります。
またこれくらいの誤差では欠陥判定にならないということを認識することも大事です。試験ではなおさら「格好良く見せたい」と思うもので、ちょっと見た目が悪いから、もう一回圧着しなおそう……などとリングスリーブをチョキンと切り落とした時点で試験終了の合図という事故を何人もやってしまっているようです……。怖い怖い。
練習はどれ位やれば?
人によってはぶっつけの人、2回・3回とこなした人、いろいろだと思いますが、私はこんな風にやりました。- 最初はNo.1~No.13まで順番に一通り解く。
- 二巡目では、過去制作に時間の掛かった順に解く(ただし作成に30分を越えていたものだけ)。
- 三巡目は、問題毎に独特なもの(露出型コンセントとか)をスポットで練習。全ては解かない。
結局どの問題も、ベースで必要とされる技術(輪作りとか被覆剥き)は同じなので、一通り『問題の読み方』さえ分かってしまえば、何度も何度も繰り返さなくても大丈夫なはず。
最後は時間の許す限りってやつですね。
当日の持ち物
HOZAN S-34の旧モデルから- ドライバー(+/-)
- ラジオペンチ
- 小型ニッパー N-31
- 圧着ペンチ P-737
- VVFストリッパー P-958
- 合格マルチツール DK-200
- 合格クリップ P-926
- 定規マスキングテープ MTEX1P96
- タイラップ
- 30cmプラスチック定規
- カッターナイフ
- シャープペンシル + 消しゴム
- 油性ペン
- 腕時計 (x2)
- 予備のメガネ
- 受験票
長い定規は、部材確認の際に1mを越すケーブルの長さを測るのに使って便利でした。
一方、マステの定規タイプは、ケーブルを切ったりシースを剥ぎ取る長さを計測する際に楽でした。プラや布の定規と違って滑らず固定出来るのが便利です。
ついでに、テープとしても使えるので、ゴミ入れの袋を机の端に固定するのにも使えてよかったです。
タイラップは、合格クリップで留まらないような電線を圧着する場合に使おうかと思っていましたが、出番無しでした。
腕時計は念のため2個持っておくのが安心です。筆記の際には壁掛け時計があったのですが、実技は会場も異なり、時計が一切ありませんでした……。時間配分をミスると合否に関わるので、必須です。
解答のコツ
最初はペンを持って複線図を書いてる人が多かったような気がしました*8が、私はこんな感じで進めました。ちなみに問題はNo.6の3路スイッチx2と露出コンセントの問題でした。試験会場は大学で、掛け時計はありませんでしたが、3人掛けの長机1つ分を受験生ごとに独占して良い感じでしたのでアタリでしょうかね。
- マステ定規を作業台の厚紙に貼り、ゴミ袋を机の端にマステで固定する。
- 問題を開き、<施工条件>を確認しながら、回路図の3路スイッチの0番端子に「電源」、A部分に「差込」、B部分に「リング」、3路スイッチに「枠」と大きくメモを書く。見落とし・勘違いを防止するため。
ちなみに材料は必要になるときまで、箱から出しませんでした。 - 電源線→渡り線→3路スイッチx2→施工省略→引掛シーリング加工→露出型コンセントと簡単な方から順番に部品を作る。まず必要な長さを計算して油性ペンで印を付けてからカットし、部品側を先に加工、後で結線側を処理すると(心線が服に刺さるなどの事故が起こらず)危なくない。
- 3路スイッチが渡り線の左右にあるので、3芯はそれぞれ電源の白(接地)、3路の1番・3番が繋がると分かる。よって、A部の差込型コネクタを嵌めてしまう。それぞれ差し込みが十分か毎回確認する。
- リングスリーブを嵌める。この時合格クリップで軽く押さえておくと楽。心線が多い場合は、クリップよりもタイラップの方が安全かも。忘れず外すこと。
- 最後に線のしなりを調整して、見栄え良く。
余裕を持って40分を終えることが出来ました。
なお、試験終了は予告なく突然来ます。1分前とか教えてくれません。採点基準的に、どうしても直しが必要でない限りは、一度仕上げた作品をやり直さない方が良いでしょう。だいたいドツボです。
余談
上に書いたように、連用取付枠とかは実家に転がってた余り物を使って練習していたのですが、どうやら昭和末期の遺物だったようで、松下電工 Nationalロゴがきらびやかに!試験では勿論Panasonicの2021年製でしたので、連用枠の固定部分が固いことよ……(涙
廃材利用も程ほどにしましょう(戒
合否は…
色々偉そうなこと書きましたが、まだ分かりません。1月下旬発表予定です。→1/28に発表でしたが、受かっていました ;-)