2008/11/29(Sat)VAIO TZにXP+Ubuntuを構築する方法 (1)

2008/11/29 23:45 Hardware::VAIO
ある方から暫くVAIO type T(VGN-TZ90HS)をお借りできることになったので、環境構築をば。
なかなかハードウェアが豪勢で、SSD 32GBに2.5"のS-ATA 160GB。その代わりに光学ドライブ非搭載。
データドライブとしても余裕があるし、せっかくのSSDが32GBも使えるのだから、デュアルブート環境を構築してみる。

下準備

メインOSとしてWindows XPをインストールしたいのだが、その前にリカバリ等のバックアップから。
SSDの32GBのうち、ほぼ1/4をずっとリカバリイメージに占有されたままというのはアホらしいので、S-ATAの方へ移すことにする。

有り合わせのLiveイメージを用いた。私が使ったのは、Fedora 7 Live。こちらからDL可能。
適当な焼きソフトで焼くだけでOK。
起動にはCDドライブが必要なので、その辺のタワーPCから取り出した5インチドライブに、USBアダプタを被せて起動。

VAIOは[F2]でBIOSに入れるので入って、"External Boot Device"をEnabledにする。後は起動を待つだけ。

リカバリ領域の退避

こんな感じでバックアップ。

最初にS-ATA 160GB(/dev/sdb)上の末尾10GB(先頭より末尾のほうがアクセススピードが若干遅い*1)を切り分ける。
フリーならLinux版でQtparted辺り、Windowsが良ければAcronis Disk Director Suite 10.0とか、PowerX Partition Manager 8 Pro辺りを使って変更。
$ su -
# mkfs.ext3 /dev/sdb2
# e2label /dev/sdb2 RecovImg
# mkdir /mnt/recov
# mount /dev/sdb2 /mnt/recov
# cd /mnt/recov
# fdisk /dev/sda
> p
Disk /dev/sda: 32.7GB, 32749125632 bytes
255 heads, 63 sectors/track, 3091 cylinders
Units = cylinders of 16065 * 512 = 8225280 bytes

   Device Boot      Start     End     Blocks     Id  System
/dev/sda1               1     973    7812096     27  Unknown
Partition 1 does not end on cylinder boundary.
/dev/sda2  *          973    3981    2416248+     7  HPFS/NTFS
パーティションテーブル情報を一応メモる。

MBRのバックアップをする。
# dd if=/dev/sda of=tz_mbr.img bs=512 count=1
パーティションイメージをバックアップ。
# dd if=/dev/sda1 of=tz_recov.img
15624192+0 records in
15624192+0 records out
7999586304 bytes (8.0 GB) copied, 407.622 s, 19.6 MB/s
だいたい10分弱で終了。さすがですね。

最初bzip2で圧縮したが、90分たっても終わらなかった。HDDのLEDも点灯ではなく点滅だったので、CPU負荷がデカいばかりであまり得はない。


無口なddを使いつつ進捗状況が知りたいなら、別の窓で
# while sleep 5 ; do ls -al *.bz2 ; done
とかやっておけば、現在作成済みのサイズが刻々と流れていく。

*1 : cf.http://www.clustcom.com/content/view/138/32/

ドライバ類用意

一旦Vistaに戻してリカバリエリアから必要なものを吸い出しておきます。
BIOSでF10連打でリカバリメニューに入るので、"お買い上げ状態に戻す"を選んで数十分。SSDだと心なしか速いですね。

VAIO | type T | Wiki - クリーンインストール方法を参考に、
  • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Sony Corporation\Shared Info
  • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Sony Corporation\VAIO Application Recovery Utility
  • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Autoplay-Handles\DeviceGroups\MemoryStick
  • HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Autoplay-Handles\DeviceGroups\MemoryStick-MG

  • C:\Program Files\Common Files\Sony Shared-C:\Program Files\Sony\VAIO Recovery Utility
  • C:\Windows\snymsico.dll … メモステのアイコンファイル
  • C:\InstantON … AVインスタントモード用フォルダ
  • C:\kernel.pam … AVインスタントモード用ファイル その1
  • C:\initrd.pam … AVインスタントモード用ファイル その2
を一応バックアップ。
しかし、実際に使うのは、C:\Windows\snymsico.dllとHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Autoplay-Handles\DeviceGroups\MemoryStick*位ですかねぇ。
別になくてもMemory Stickのアイコンが変わるかどうかだけなので、あまり大したことはありません。


※ちなみにLinuxの扱いにそれなりに慣れている方なら、先ほどのLive CDを使って取り出せます。
隠しパーティションですが、中身はなんてことはない普通のNTFSですので。
$ su -
# mkdir /mnt/recov /mnt/sata
# mount -o ntfs-3g /dev/sda1 /mnt/recov
# mount -o ntfs-3g /dev/sdb1 /mnt/sata
# cd /mnt/recov
# mkdir /mnt/recov/extract
# cp -r * /mnt/sata/extract/
これで、全部S-ATAドライブに吸い出せます。

パーティション調整

/dev/sda1のリカバリエリアのパーティションを開放し、ここをLinux用のパーティションとする。
さすがに8GBだと手狭なので、10GBほどに拡張。
これで、/dev/sda1 = ext3 10GB(Fedora), /dev/sda2 = NTFS 22GB(XP)のように準備が整いました。

とりあえずXPから

ということで、外付けの光学ドライブにインストールCDを入れてGO~。
SP2とHotfix辺りを統合しておくと楽で良いです。
最初、Windows XP のインストール時にエラー メッセージ "Windows XP Professional CD-ROM の 'asms' ファイルが必要です" が表示されるが起こったのですが、ドライブ・アダプタ一式交換で改善しました。
どちらが悪いのかまでは検証してませんが、iConnectとは相性悪いのかな…。

ドライバ

TZは基本的にVistaモデルのようなので、XP化するにはそれなりに大変です。
この辺りを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
VAIO TZのXP化 完全版 その2 ドライバ類の収集:モロのメモ帳:So-net blog
acid blog


インストール順番は、以下の通りでうまく行きました。
以下、「TZリカバリディスク」は、先ほど上記で吸い出したリカバリパーティション内のデータを指します。
「vaiolink」はftp://ftp.vaio-link.com/PUB/OS/XPDOWNGRADE/TZ1-TZ2/辺りのデータを指します。
バージョンの数字は括弧内のファイル内に記述してあるバージョン番号です。ここが本当に正しいかはわかりませんが、ファイルの判別にどうぞ。
ちょっとしたバージョン違いでも、うまく動作しないので、True Imageなどでバックアップを取りつつ進めるのを推奨。
Chipset

TZリカバリディスクから。
\VAIO\Driver\Chipset\Setup.exeを実行。

[\VAIO\Drivers\Chipset\readme.txt]

Target Chipset(s)#: Q963/Q965/P965/G965 and 3000/3010/3100 and 5000 Series
Version: 8.1.1.1010
Date: November 08 2006
Video

TZリカバリディスクから。
\VAIO\Driver\Video\igdlh.infをデバイスマネージャーから指定。
適用すると、解像度が1024x768になる問題は後述の方法で直る。

[\VAIO\Drivers\Video\igdlh.inf]

DriverVer=12/13/2006,7.14.10.1151
Hotfix

サウンドデバイス認識のため、KB835221.EXE (CRC32:9B408F9C)を入手する。
私はTXのインストールをした時のリカバリディスクにあったものを流用したが、MicrosoftのKBからでもダウンロード可能。
メールアドレスを入れて申請すれば、パスワード保護されたZipのアドレスとパスワードがもらえる。

198658_intl_i386_zip.exe -> パスワードで解凍 -> KB835221_ALL_OS_ALL_LOC.zip -> \us\x86fre\kb835221.exeが必要なファイル。
Audio

vaiolinkからTX用のXPドライバを入手。
解凍してSetup.exeを実行。

[\WDM\HDARt.inf]

DriverVer=05/09/2006, 5.10.0.5255
Modem

TZリカバリディスクから。
\VAIO\Driver\Modem\SnSZIRXz.infをデバイスマネージャで指定。

[\VAIO\Drivers\Modem\SnSZIRXz.inf]

DriverVer=10/24/2006, 7.58.00.50
Bluetooth

TZリカバリディスクから。
事前にC:\Windows\inf\btn.infの"Pid_3006"という文字列を"Pid=300D"に置換。(1箇所)
\VAIO\Driver\Bluetooth\Setup.exeを実行。

[\VAIO\Drivers\Bluetooth\Program Files\Toshiba\Bluetooth Toshiba Stack\TosBtUtl.DAT]

ServiceCenter = v5.10.06(SO)
WiredLAN

yk51x86_v10.64.10.3.zipをメーカーから取得。

解凍して、yk51x86.infをデバイスマネージャで指定。

[yk51x86.inf]

DriverVer = 09/19/2008, 10.64.10.3
WirelessLAN

vaiolinkからTZ用のダウングレードドライバを取得。

\7_Wireless_LAN_Driver\iProInst.exeを実行。
ドライバのみのインストールで十分。Pro/Setはいらないと思う。

[\7_Wireless_LAN_Driver\iProInst.ini]

2K/XP Generic API Version 9.23
FelicaDriver

公式サイトからダウンロード。
バージョンはまぁ気にしなくてよかろう。
Memory_Card1/2

それぞれMemoryStick/SDカードドライブ用なので、デバイスマネージャで指定。
[\VAIO\Drivers\Memory_Card1\rimsptsk.inf]

DriverVer= 03/12/2007, 6.03.00.0046

[\VAIO\Drivers\Memory_Card2\Risdptsk.inf]

DriverVer= 03/09/2007, 6.03.00.10
Pointing

vaiolinkからTZ用のダウングレードドライバを取得。

\11_POINTING_DRIVER\Apfiltr.infをデバイスマネージャで手動指定してやる。自動検索ではうまくいかなかった。

[\11_POINTING_DRIVER\Apfiltr.inf]

DriverVer		= 05/25/2007, 5.3.512.7
Camera

TZリカバリディスクから。
\VAIO\Driver\Camera\VGP-VCC7\R5U870FL.infをデバイスマネージャで直接inf指定。
「イメージングデバイス」-「USB ビデオ デバイス」という区分けで一応認識されてはいるが、念のため。
なお、infをインストールしても、「USB ビデオ デバイス」という名前のままだが、ドライバ製造元がMicrosoftからRicohに変わる。
動作確認は、「マイコンピュータ」→「USB ビデオ デバイス」で。

[\VAIO\Drivers\Camera\VGP-VCC7\R5U870FL.inf]

DriverVer= 04/02/2007,6.1003.210.0
SFEP(Notebook Control)

TZリカバリディスクから。
一応Sony Notebook Controlを認識しているが、バージョンが古そうなので適用しておく。
\VAIO\Driver\SFEP\SonyNC.infをデバイスマネージャで指定。

[\VAIO\Drivers\SFEP\SonyNC.inf]

DriverVer=10/16/2006,7.0.0.5
SonyPI(Programmable I/O Control)

TZリカバリディスクから。
こちらも既に認識しているが、バージョンが古そうなので適用しておく。
\VAIO\Driver\SonyPI\SonyPI.infをデバイスマネージャで指定。

[\VAIO\Drivers\SonyPI\SonyPI.inf]

DriverVer=10/05/2006,7.0.4.229
SonyImgF(Image Filter)

TZリカバリディスクから。
\VAIO\Drivers\install.batを叩く。
特になにが変わったのか良く分らんけど。

[\VAIO\Drivers\SonyImgF.inf]

DriverVer = 04/02/2007,1.1.07.04020
HDD Protection

TZリカバリディスクから。
\VAIO\Drivers\HDD Protection\shpf.infを右クリックして、インストールを選ぶ。

[\VAIO\Drivers\HDD Protection\shpf.inf]

DriverVer = 03/15/2007,1.1.07.03150
以上でドライバ周り終了。
2007年前後の記事や投稿を参考にしたけど、vaiolinkのアドレスが変わってたり、投稿者がどのドライバのことを言っているか分かりづらくて苦労した。
結局、TZリカバリディスク内で用いなかったドライバは以下の通り。
指紋認証やワンセグ、TPMは非搭載モデルなので不明です。
  • Audio
  • FeliCaRW
  • Fingerprint
  • Network
  • Pointing
  • SetReso
  • SonyCXD
  • WirelessLAN

記事が長くなってきたので、Sony周りのユーティリティインストールについては次の記事で。