2014/07/24(Thu)UTF-8なTeX環境の構築 [Windows編] 2014年版

2014/07/24 23:56 Software::Windows
以前、UTF-8なTeX環境の構築 [Windows編]という記事を書いたけれど、いつの間にかミラーサイトのURLや、ダウンロードすべきファイル名/圧縮方式までもが変わってしまったようで、作り直してみました。

pTeXパッケージの入手

以前のと同様に、UTF-8対応のTeX環境に仕上げるスクリプトを作り直しました。
やっていることは奥村先生のW32TeXで説明されている内容そのものですが、意外とバッチファイル+αだけで作ろうとすると面倒なもので…

こちらを右クリックして保存してください→ptex-win32_download2.bat

バッチファイルをC:\直下にダウンロードして実行すると、こんな感じのログが出ます。
ダウンロードされるpTeXのサイズは700MBほどあるので、高速なインターネット環境を用意して、放置しておきましょう。
ダウンロード中にウィンドウを閉じてしまった場合、再実行すると続きから再開するので表示が止まったからと言って慌てないように…。
==============================================================
 pTeXダウンロード スクリプト v2.0 by.Kero
  詳しくは http://mo.kerosoft.com/0216 を参考にしてください。
==============================================================
ダウンロードフォルダ: C:\pTeX

続行するには何かキーを押してください . . . 
解凍ソフトをダウンロードします
ダウンロード中   : 7za920.zip
ダウンロード成功 : 7za920.zip

pTeXをダウンロードします
ミラーサイトhttp://www.dnsbalance.ring.gr.jp/pub/text/TeX/ptex-win32/current/を使用します
ダウンロード中   : unzip.exe
ダウンロード成功 : unzip.exe
ダウンロード中   : aleph-w32.tar.xz
ダウンロード成功 : aleph-w32.tar.xz
ダウンロード中   : biblatex-biber.tar.xz
ダウンロード成功 : biblatex-biber.tar.xz

(...省略...)

ダウンロード完了
Archive:  7za920.zip
  inflating: 7-zip.chm               
  inflating: 7za.exe                 
  inflating: license.txt             
  inflating: readme.txt              

7-Zip (A) 9.20  Copyright (c) 1999-2010 Igor Pavlov  2010-11-18

Processing archive: aleph-w32.tar.xz

Extracting  aleph-w32.tar

Everything is Ok

Size:       24033280
Compressed: 4661852

7-Zip (A) 9.20  Copyright (c) 1999-2010 Igor Pavlov  2010-11-18

Processing archive: aleph-w32.tar

Extracting  bin
Extracting  bin\aleph.dll
Extracting  bin\aleph.exe
Extracting  bin\kpathsea620.dll
Extracting  bin\lambda.exe
Extracting  bin\lambdaj.exe

(...省略...)


Everything is Ok

Folders: 31
Files: 197
Size:       5714847
Compressed: 5888000
完了しました
続行するには何かキーを押してください . . . 

全てが終わると、C:\pTeX\にbinshareというフォルダが出来ます。
それ以外に.tar.xzや.exe等が転がっていたら、バッチ処理が中途半端で終わってしまっているので再実行してみて下さい。
tex-windows2-folder.png


dviout

ここからは、texファイルをコンパイルしてプレビューするのにとても便利なdvioutを導入します。
(別に毎度毎度pdfを生成してAcrobat Readerで確認しても良いのですが、dvioutはファイルを再読込しなくても、ウィンドウを開きっぱなしにしておけばコンパイル結果が刻々と反映される特徴があります。
ただし、後述のTexmaker付属のPDF Viewerを使う場合は、ファイルの再読込操作が不要です。)

GhostScript

まず、GhostScriptを導入します。
Ghostscript 9.14 and GSview 5.0 J (Official Site)より、Ghostscript 9.14 (日本語版)を探して*1gw914w32full-gpl.exeをダウンロードして実行します。

基本的に設定する箇所は何も無いので、ただダイアログを次へ、次へ、と進めて完了して下さい。
最後のShow readmeは外しても問題無いです。
tex-windows2-gs.png


dviout

そしてdvioutをダウンロードします。
DVI-TESTを開いて、"zip形式のtex318w.zipもあります"という部分からtex318w.zipをダウンロードし、C:\pTeX\dviout\内にでも展開しておきま

この時点でフォルダは以下のようになります。
tex-windows2-folder2.png


*1 : 大変文字が多いサイト…

パスの設定

今回の例ではC:\pTeX\を指定してインストールしたものの、Windowsはどのコマンドがどこに有るかを認識できていないので、パスを登録して認識させます。

[スタート]ボタン → [コンピュータ]を右クリック → [プロパティ]、[システムの詳細設定]、[環境変数]と進みます。
下側の[システム環境変数]からPathという項目を探して、[編集]をクリックします。

図のように、右端に;C:\pTeX\binを足して、OKをクリックして閉じます。(先頭のセミコロン(;)を忘れないように注意!)
tex-windows2-path.png


コマンドプロンプトを開いて、platex -kanji=utf-8 -vと打って以下のように表示されればOKです。
C:\Users\Kero>platex -kanji=utf-8 -v

e-pTeX 3.14159265-p3.5-130605-2.6 (utf8.sjis) (TeX Live 2014/W32TeX)
kpathsea version 6.2.0
ptexenc version 1.3.2
Copyright 2014 D.E. Knuth.
There is NO warranty.  Redistribution of this software is
covered by the terms of both the e-pTeX copyright and
the Lesser GNU General Public License.
For more information about these matters, see the file
named COPYING and the e-pTeX source.
Primary author of e-pTeX: Peter Breitenlohner.
以下のように、コマンドが見つからないという出力になったら、パスが間違っているので再度修正しましょう。
パスを修正したらコマンドプロンプトを立ち上げ直さないと有効にならない点にも注意を。
C:\Users\Kero>platex -kanji=utf-8 -v

'platex' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。

dvioutの設定

C:\pTex\dviout\dviout.exeを右クリックし、「管理者として起動」すると、初回に設定を作るかどうか聞いてくるので、はいを選びます。
[cimg:tex-windows2-dviout1.png]
もしこのダイアログでいいえを選んでしまった場合、dvioutのOption→Installを選ぶと、同じ画面に戻れます。

フォント解像度と用紙サイズはデフォルトのままにしておきます。
tex-windows2-dviout2.png


設定値が空欄なので、Guessをクリックして、自動検索させるか…
tex-windows2-dviout3.png

[cimg:tex-windows2-dviout4.png]

以下の値をセットしても良いでしょう。
TEXROOT: C:\pTeX\share\texmf-dist\fonts
TEXPK: ^r\tfm\\^s^tfm;^r\pk\\^s.^dpk;^r\vf\\^s.vf;^r\ovf\\^s.ovf;^r\tfm\\^s.tfm
[cimg:tex-windows2-dviout5.png]

次に、フォント周りの設定を。gengsxをクリックして自動検索がうまくいけば良いのですが、うまくいかない場合、以下の値をセットします。
Font: `C:\pTex\bin\mktexpk.exe --dpi ^d --bdpi ^D --mag ^M ^s
PostScript: C:\PROGRA~2\gs\gs9.14\bin\gswin32c.exe
設定が終わったらdvioutを終了しておきます。


この次にもしこのダイアログが出てきたら、OKで閉じて、最初からやり直します。
管理者として起動していないのでレジストリーに設定が保存できていません。
[cimg:tex-windows2-dviout7.png]

Texmaker

texをコンパイルするために、いちいちコマンドプロンプトを使うのも面倒なので、ファンクションキーを使って簡単にコンパイルできるような環境を作りましょう。
慣れたら、自分の好きなエディタに登録するなどしても良いです。

最初からいろいろ準備された環境という意味では、Texmakerがオススメです。zip版で良いので、C:\pTeX\texmaker\などに解凍しておきます。

[Options] - [Configure Texmaker]を開き、パスを修正します。
tex-windows2-texmaker1.png

LaTeX
platex -kanji=utf8 -interaction=nonstopmode %.tex
PdfLaTeX
platex -kanji=utf8 -interaction=nonstopmode %.tex
XeLaTeX
xelatex -synctex=1 -interaction=nonstopmode %.tex
LuaLaTeX
lualatex -interaction=nonstopmode %.tex
Latexmk
latexmk -e "$pdflatex=q/pdflatex -synctex=1 -interaction=nonstopmode/" -pdf %.tex
Bib(la)tex
jbibtex %
Makeindex
jbibtex %
dvips
dvips -Pdownload35 -o %.ps %.dvi
Dvipdfm
dvipdfm %.dvi
ps2pdf
ps2pdf %.ps
metapost
mpost --interaction nonstopmode
Asymptote
"C:/Program Files/Asymptote/asy.exe" %.asy
ghostscript
"C:/Program Files (x86)/gs/gs9.14/bin/gswin32c.exe"
R Sweave
C:/Program Files/R/R-2.13.2/bin/R.exe CMD Sweave %.Rnw
Dvi Viewer
C:/Program Files/R/R-2.13.2/bin/R.exe CMD Sweave %.Rnw
PS Viewer
"C:/Program Files/Ghostgum/gsview/gsview32.exe" %.ps

次に、Quick Buildのセクションを開いて、Quick Build CommandをLaTeX + dvipdfm + View PDFにしておきます。
ここに登録しておくと、F1キーを押すだけでtexをコンパイルして、自動的にPDFファイルを作る所までいきます。
tex-windows2-texmaker2.png

最後にEditorセクションで、Editor Font EncodingがUTF-8としておきます。
tex-windows2-texmaker3.png

テスト

新しいtexファイルを作成して、以下のように書いてみます。
\documentclass{jarticle}

\begin{document}
文字化けせずに表示できましたか?
\end{document}
コンパイルなどを行う前に、まず保存をしてから、F2キー→F3キーとするだけで、コンパイル→dvioutで確認が出来ます。

tex-windows2-texmaker4.png


それでは快適なTeXライフを!