2014/01/15(Wed)マルチ電圧ACアダプターSP22-01の断線を修理してみた
2014/01/16 0:19
ググってもほとんど情報が出てこないので、レビューしながら修理記録を残してみます。
なぜACアダプターを買い増し?
昨今ノートPCのバッテリーも長時間駆動になってきたとはいえ、やはりCPU負荷の大きなタスクや、無線をバシバシ使うような作業をしているとバッテリーの減りは早いもの。というわけで、ACアダプターは1日仕事にはまだまだ必需品です。携帯性に優れた超小型・軽量のアダプターを別売しているような会社もありますが、多くのアダプターは結構重いので、私は自宅や会社・出先など据え置ける場所には置きっぱなしにしておきたいという考えです。
しかし!
いくつかのメーカーのPCを使っているので、電圧もコネクタの形もバラバラ。
純正品のアダプターは1個といえどもそこそこな出費になりますが、メーカー×場所分の数を買っていくとさらに高額になり、コンセントの配線もぐちゃぐちゃです。
そこで、1つで複数台に対応できるようなものは無いかと探すとマルチアダプターなる複数のメーカーに対応したACアダプターがいくつか見つかりました。
怪しげなACアダプター購入の所以
もちろん、○ッファローとか○ンワサプライが出しているアダプターは真っ先にヒットしました。ラインナップを見てみると「どこそこのメーカー用」という括りが多いですね。多分、同一メーカー間では同じプラグ形状で同じ電圧を用いていることが多く、最低限の互換品を安く作れるからでしょう*1。また、世代をまたいでプラグがスリムになったりしても、単純な変換ケーブルを付けておけば問題無いし。
しかし。
私はVAIO, Let's note, ThinkPadに1つで対応するアダプターが欲しい。しかも場所ごとに据え置きしたいし。
電圧は、19.5V、16V、20Vとバラバラ。もちろんプラグ形状も全てバラバラ。オマケにVAIOはZシリーズで大飯ぐらいなので、19.5V x 4.7A ≒ 100Wを供給できなければなりません。
さっきのメーカーも「どのメーカーにも対応するアダプター」というのが1個見つかったりもしたのですが、「75Wまで」等と100Wが出せる物がない……。
そんな困っていたとき、こんなアダプターをAmazonで見かけました。
Amazon.co.jp: ノートPC用 マルチ電圧ACアダプター 18種類 AC100~240V to DC15~24V-520685: パソコン・周辺機器
プラグがなんと18種類も付属しており、出力 DC15V~24Vに対応。20Vまでなら5A、24Vで4Aまで供給可能。つまり、100Wクラスです。
お値段も4000円程度と、純正1つ買い増しすること考えてもお手頃……。
楽天などでも売っているようですが、メーカーは不詳で、型番らしい型番もありません。
Amazonのレビューは善し悪しあるようでしたが、物は試しと思って買ってみました。
普通に使える
届いてみると、ずっしり重いアダプターに18個の小さな変換プラグがわらわらと……。中に変換回路が入っているせいか、DC側に負荷が無くても(PCを繋いでいなくても)コンセントにプラグを指すだけでバチッとスパークが飛んだり、ちょっと怖いですね。
通電を示す青色LEDが昼間でもかなり眩しいという不便はあるもの*2の、5pinの不思議なコネクタに変換プラグを差し込むと、プラグに書かれた電圧が出ました。スライドスイッチなどで出力電圧を変更するタイプに比べて、電圧間違い事故の心配なしですね。この点は評価。
電力問題が気になっていたVAIO Zで充電しながら使っても、結構熱くはなりますが*3問題ありませんでした。*4
出先への移動を機に不安定に…
5pinコネクタは特殊形状で、抜き差しするときに負荷がかかるので、取り回しには気をつけていました。が、隙間無く詰め込んだ旅行鞄に入れた時にでしょうか、断線したようです。出先での給電が不安定になりました。
ケーブルをぐりぐりあっちこっち動かしてみると、ある方向に動かしたときだけPCがAC給電状態になり、その他はバッテリー駆動状態になります。ThinkPadだと、ピコッ、ピコッ、と電源状態が変わる度にビープがなるのですが、けたたましいほど連続してなりまして鬱陶しいったらありゃしない。おまけに電源状態によってモニタの明るさが自動的に変わるようにしているので……。
ちなみに、通電を示す青色LEDは、ずーっと光ったままです。あれっ?どこで断線している??
このまま使い続けられないので、分解して自力で直すか、4000円だと思って買い直すか、選択を迫られました。
やっぱり分解
やはり、捨てるくらいならばらしてみようと言うことで分解。と、その前に、状況を整理してテスターで調べておきます。
断線状況が起こるのは、どの変換プラグを付けたときでも発生しました。電圧を測ってみると、本来19Vや20V出るはずが全て15V。この値、このマルチ電圧ACアダプターの下限値ですね。0Vかと思ってたんですが、予想が外れました。
つまりノートPCからすれば15Vでは給電・充電するには電圧が低すぎるので、バッテリー駆動状態になってしまうのでしょうね。ということは、電圧を可変させる回路が壊れかけの可能性が……でも、ケーブル動かしてその状況が変わる……?
さて気を取り直して、例の5pinの出力を調べます。
DC側の5pinは2段構えで3pin、2pinという並び方です。そのうち頂点4pinの各2pinがそれぞれ+とGNDの出力のようです。変換プラグを付けない状態では15V。先ほどの下限値ですね。変換プラグをつけてケーブルの位置をいじっていると、それぞれに書かれた電圧がこれらの4pinから出てきています。ふむ……。
残りの1pinは15Vに満たない微妙な電圧が出ているので、きっと変換プラグ側の回路(多分ツェナーダイオード)を通る信号線で、これで出力電圧をスイッチするのでしょう。このケーブルがどこかで断線しているので、通常電圧と15Vを行ったり来たり不安定になるのでしょう。
ちなみに出力がケーブルを動かすと不安定になるのに、なぜ通電LEDが消えないかというと多分+/GNDのケーブルは断線していないのでしょう。
覚悟を決める
一般的にコードが断線するとしたら、やはり出力側のプラグの根本がNo1。続いてアダプター付近でしょうか?というわけで、プラグから数センチの所でニッパーでパチンッ。
あー、これが原因だったか。一本だけ細い赤色の線(信号線)が明らかに断線してますね。切った瞬間に導線くずが出てくるほどメタメタになっていました。
確かに購入当初から、シコリのように"ケーブルの縒れ"が外から見えていたので、知らず知らずのうちにストレスがかかって断線したのでしょうね。
とはいえ、こんなの引っ張られた状態でチューブに詰めたとしか考えられません。製造ミスですね。さすが怪しい製品だけある……。
ちなみにS/NっぽいものがACアダプターに書いてあるのですが、ググって出てくる写真と同一……。ってことは、これもフェイクですか。やれやれ……。
原因が分かったところで修繕ですが、反対側を結構短く切ってしまったので、綺麗に処理しますか……。
げっ
ここ全部樹脂で固めてあるのか……ひどい作りだ。
(これでも結構剥ぎ取ったあと)
さらに頑張ってカッター、ニッパーで剥きます。基板をガリッと壊さないように……慎重に……
小一時間格闘して、なんとか取れました。
配線し直すので、余分なケーブルと半田を除去します。ピッチ狭すぎだよ、これ。
こんなところだけ半田特盛りにしなくても……。ショートしないんかいな。
↓なかなか取れない……
スカスカの芋半田はマズいけど、盛りすぎるとショートするので、慎重にささっと半田を……。
削った部分には、軽くホットボンドを載せました。もう断線しないと願って…(笑)
そして、最後に自己融着テープを巻いて完成です。
ついでに通電LEDまでぐるぐる巻きにして、針で穴を空けました。普通のACアダプターの通電LEDはもうちょっと大きいかもしれませんが、青色LEDが明るすぎなのでこれくらいの穴で十分です。
これで、ケーブルを動かしても電圧が安定しました。
修理完了!