2009/05/10(Sun)ウイルス対策ソフトのパフォーマンス比較実験

2009/05/10 3:00 Software::Windows

はじめに

セキュリティ対策を講じておくこと。これは、もはや大企業だけではなく中小企業や教育機関、家庭においても、インターネット利用の上で基本中の基本と言える様になった。

私個人としては、昔からつい最近までウイルスバスターを代々購入していたユーザーだったが、x64対応やファイアウォールの兼ね合いからKaspersky Internet Securityを経てESET Smart Securityに移行したものの、出先でウイルスバスターを頒布購入しているのもあったりで、そのインストール手伝いや、設定どうしたらいいですか?という質問を受けることが多い。


その一方で、たくさんあるセキュリティ・ウイルス対策ソフトの中で、どれがお勧めか?という質問もある。
この質問に答えるのは非常に難しく、検索してみても言いたい放題のレスしか見つからない。具体的に数字を出して検証しているところは微々たる物である。

というわけで、このエントリでは、ウイルスバスターを中心にセキュリティ対策ソフトの重い軽いについて具体的な数値を交えつつ、検証してみたいと思う。

動作テスト環境(ベースシステム)

ウイルス対策ソフトは、ほぼすべてにおいて複数のソフトを同居させるのが難しく、同様の環境を物理的にはなかなか揃えられないので、VMwareを用いたWindows XP環境でテストを行う。

ホストシステム
Core2Duo E6400 2.13Ghz, DDR2-800 2GB, ATI RadeonHD 2600 Pro 256MB, Windows XP Professional SP2
ゲストシステム
CPUx1, 768MB, IDE 8.0G, Windows XP Professional SP2

ソフトウェア側のチューンとしては、XP SP3とIE7以外のすべてのWindows Updateを済ませ、VMwareのゲスト側アプリが動いているだけの素に近いXPを用意した。
起動後の状況はこんな感じ。

sectest_base_1.png

sectest_base_2.png


最初に断っておくが、以下で計測した時間についてはHDDのアクセス状況などを考慮した目測であるため、何かのツールを用いてある区間内をきっちり測定したわけではない。
ゆえに、Windowsの起動時間など、同程度の環境下でも微妙に誤差が出る可能性がある。

ウイルスバスター シリーズ

まずは、テレビCMなどでもお馴染み?の比較的認知度が高いと思われるウイルスバスター。
しかし、2006年を境に、2007で一気に動作が重たくなったというウワサが広まり、2008も微妙?2009はどうなってんの?という状況。
2006はもうサポートの期限切れのようなので、現行提供している2007からテスト。

ウイルスバスター2007

さてトップバッター。

sectest_vb2007_1.png

sectest_vb2007_2.png

プロセス数6
メモリ使用量126,152KB
空き物理メモリ483,060KB
2006に対して重い重いといわれただけはありますね。
ウイルスバスター関連のプロセスだけで、100MBオーバー。この当時はまだ、メインメモリが256MBや、あっても512MBだった時代。「100MBも食うアプリは重い」という烙印を押されてもしょうがありません。
また、現行バージョンに比べ、セットアップ途中やメイン画面でも、ポップアップが非常に多い。
メイン画面を開いたときに聞かれる「動画ガイダンスを開始しますか」というポップアップ、一度も見たことないのだが、果たして必要だったのっだろうか。

ウイルスバスター2008

さて、2008はどうだろうか。

sectest_vb2008_1.png

sectest_vb2008_2.png

プロセス数5
メモリ使用量59,212KB
空き物理メモリ536,328KB
お、これはこれは……。2007に比べてプロセスの合計メモリ使用量が半分ですね。
が、ウイルス検索時やアップデート時のCPU占有率やHDDアクセスの酷さは相変わらず。それらの作業をさせているときは、事実上、仕事が出来ません。
数字の上ではだいぶ削られていても体感的に微妙なのは、これが原因でしょう。

ウイルスバスター2009

さて最新版の2009。
2008に比べ、メモリ使用量を45%削減などとうたっているが、真相はどうなのか?

sectest_vb2009_1.png

sectest_vb2009_2.png

プロセス数8
メモリ使用量66,965KB
空き物理メモリ531,388KB
おや?ぜんぜん減ってませんね…。もしや2007に比べて45%削減とか??*1
プロセス数はなんと8つ。trendツールバーなどのプロセスが増えた模様。
こちらも相変わらずアップデート時に重い。

どのバージョンのウイルスバスターにも見られるアップデート時に非常にシステムが重たくなる傾向であるが、この現象を回避するには、アップデート時に確認メッセージを出す設定にすること。
チェックに行く時のHDDアクセスはどうしようもないが、アップデートの適用のHDDアクセスは先延ばしに出来る。

*1 : CMでは何に比べて45%減ったかというのは明示していないので、2007に比べてだ!と言われればそれまでですが、重いイメージのある人は普通2008から45%も減ったのか~と思いますよね……。陰険だ。

Norton Internet Security 2009

sectest_nis2009_1.png

sectest_nis2009_2.png

プロセス数2
メモリ使用量40,464KB
空き物理メモリ530,616KB
ウイルスバスターと比べると、プロセス数も少なく、使用メモリもガクンと低い。
一時期のNortonの重さに比べれば、あっけないくらい軽量化したのだなぁと言うことがよく分かる。

まあ、私はNISはメインシステムで使ったことがないので、使用感などは良くは分からないが、常駐系アプリは軽くて損だことは無いと思うので、個人的にはVBよりかNISをオススメしたいところ。

Kaspersky Internet Security

KIS7

sectest_kis7_1.png

sectest_kis7_2.png

プロセス数2
メモリ使用量29,276KB
空き物理メモリ556,472KB
ファイアウォール設定の不十分さから乗り換えたKIS7だが、常駐プロセス数も少なく、非常に安定。
同じ名前で二つのプロセスがあるのが、SYSTEMユーザーの方がカーネルで、ログオンユーザーの方がタスクトレイに常駐する管理パネルである。

しばらくの間お世話になっていたが、このバージョンももうObsoletedだということで、KIS2009も考えたのだが、次のセクションでお分かりのように、巨大化してしまったのと、UIが余計にわかりにくくなったのでESET Smart Securityへと移った。

KIS2009

sectest_kis2009_1.png

sectest_kis2009_2.png

プロセス数2
メモリ使用量52,800KB
空き物理メモリ573,472KB
KIS7と比べてKernelが約2倍に肥大化。何がそんなに増えたのかよく分からんが……。
UIもゴテゴテして使いにくくなったので、移行は断念。

総評

発売時期やサポートする機能の広さなど、一概にこれがいいとは言えないが、どのセキュリティ対策ソフトも、ダウンロードしたセットアップを開いてインストールし、再起動、最初のアップデートを行うまで、約10分であった。
一覧にしたものが以下。
ソフトインストールWindows起動プロセス数メモリ使用メモリ空き
なし-30~35秒--621,892KB
VB20078分弱1分27秒6126,152KB483,060KB
VB20089分弱1分26秒559,212KB536,328KB
VB200910分弱1分32秒866,695KB531,388KB
NIS20094分弱1分35秒240,464KB530,616KB
KIS710分弱1分30秒229,276KB556,472KB
KIS200910分弱1分14秒252,800KB573,472KB

例外的に、Norton Internet Security 2009は4分弱で終了し、最初にアップデートはされなかった模様。しかも再起動不要だった。
また、中身の時間配分もさまざまで、ウイルスバスターはアップデートのダウンロードは短く、プログラムの初期設定やアップデートの適用に大半の時間を使い、Kaspersky Internet Securityは、アップデートのダウンロードに時間を使っていた*2

導入後の起動時間に関しても、どの製品でも1分30秒~2分と、導入前の30秒~1分に比べ、倍近く遅くなっている。
が、これはある種パケットのフィルタドライバ等をロードする手間を考えると、仕方ないのかもしれない。

ここまで書いておいてなんだが、現在私のお薦めはESET Smart Securityである。
x64縛りがなければ別の製品もあったかもしれないが、
  • ファイアウォールがマトモで(SrcIP/PortやDstIP/Port、アプリケーション別設定、ゾーン設定などが出来る)
  • 設定ファイルのインポート/エクスポートが出来
  • アップデートや起動が重くない
  • 現行でサポートされている
製品といったら、これくらいしかない。*3

本当はこれもテストに入れたかったのだが、このテストを行ったのはかなり前でVM環境もうっかり破棄してしまったので、公平なデータが出せないということで断念。
体感ではVBほど重くなく、KIS7と同じくらいかさらに軽い位でしょうか。

*2 : 他の製品と違い、1つ数kbのファイルを大量にダウンロードするので

*3 : フリーウェアのも考えたが、何となく心配なのでそれも除外した