2009/06/30(Tue)UTF-8なTeX環境の構築 [Linux編]
2009/06/30 16:42
いや、多くの方々の尽力によって簡単になっているものの、たくさんパッチやら設定ファイルやらの書き換えで初心者には敷居が高いという状況であろうか。少なくともMicrosoft Officeのように、「買ってきて、CD突っ込んで、インストールを押して待っていればよい」なんてことはない。
というわけで、今回はLinuxで比較的簡単にUTF-8なtexファイルをコンパイルできる環境を作る方法を紹介。
ちなみにWindowsでTeX環境を作る話はこちら。
パッケージ入手
古くからTeX環境を使っていらっしゃる方なら、「TeXといえばEUC-JPだろ」という意見でしょう。が、昨今FedoraのようにデフォルトロケールがUTF-8なLinuxも登場し、Windowsとの親和性も考えると*1EUC-JPに縛る必要はないと考えています。というか、逆にメモ帳なんかで開けないので不便です。*2
ここではptetex3という非常に便利なパッケージ化してくださったものを使うことにします。
実はこのパッケージのREADMEに十分過ぎるほどの説明があるのですが、「まずそこまでたどり着かない人」のために書いておきます。
まずは、ここから最新の"ptetex3-???????.tar.gz"を入手。
執筆時点では、2009/06/10版が最新のようですね。
次に、RINGサーバーからtetex-src-3.0.tar.gzとtetex-texmf-3.0po.tar.gzを入手。
全て同じ場所にダウンロードし、ptetex3だけ解凍します。
$ wget http://tutimura.ath.cx/~nob/tex/ptetex/ptetex3/ptetex3-20090610.tar.gz $ wget http://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/obsolete/systems/unix/teTeX/3.0/distrib/tetex-src-3.0.tar.gz $ wget http://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/obsolete/systems/unix/teTeX/3.0/distrib/tetex-texmf-3.0po.tar.gz $ tar zxf ptetex3-20090610.tar.gz
インストール
次に解凍されたディレクトリに移動し、設定ファイルをいじります。$ cd ptetex3-20090610 $ cp my_option.sample my_option $ vi my_optionとりあえず以下の3行の先頭の#を消して保存します。
KANJI_CODE=UTF8 XDVI=echo PXDVI=echo(ユーザー領域にインストールする場合は、"PREFIX=/home/kero/applications"等という行を足す)
後はコンパイルするだけ。
$ make (システム領域にインストールする場合) $ sudo make install (ユーザー領域にインストールする場合) $ make install最後にパスを設定します。
Bシェルなら~/.bashrcの最後にでも
export PATH=/usr/local/teTeX/bin:$PATH等と足します。
私は、/home/kero/applicationsにインストールしたので、"export PATH=/home/kero/applications/bin:$PATH"となります。
(Cシェルならexport文ではなくsetenvを使って~/.cshrcにでも書いてください。)
テスト
$ . ~/.bashrcとやって~/.bashrcをリロードするか、端末を開き直すかして、このように起動できればOKです。
$ ptex This is pTeX, Version 3.141592-p3.1.10 (utf8.euc) (Web2C 7.5.4) **Ctrl+Dを打てば終了できます。
フロントエンドの導入
TeXMakerという大変便利なTeXフロントエンドがあるので、これを導入しましょう。ダウンロードページから、"static i586 binary RPM package"をダウンロードします。(Debian/Ubuntu系の場合はDEB package)
Fedoraの場合はyumを使うという手もあるのですが、執筆現在、1.8.1しかリポジトリにないので、最新版を入れてしまいましょう。
$ wget http://www.xm1math.net/texmaker/texmaker-1.9.2-xm1.i586.rpm $ sudo rpm -ivh texmaker-1.9.2-xm1.i586.rpmこれでOKです。
$ texmaker &とやれば起動できるでしょう。
TeXMakerの設定
まだ設定かよ~と思われるかもしれませんが、これで最後です。コマンドを毎回打たずに楽にコンパイルできるようにTeXMakerを設定します。
私の設定例。
基本的にパスが通ってるのでフルパスで書かなくてもいいと思いますが、システム領域にインストールされた方は、/home/kero/applications/binを/usr/local/teTeX/binに読み替える必要があります。
ポイントは、
- LaTeXに、platexを指定し、-kanji=utf8 をつける
- DVIビューアはxdvi*3ではなく、pxdviを使う
- DVIpdfmはdvipdfmではなくdvipdfmxを使う
- エディタのエンコードをUTF-8にする
こうすることにより、F1キーを押すだけで、texからpdfに出力してくれます。便利です♪
追記
この設定をした頃はBibtexを使ってなかったので書いていないが、参考文献に日本語が含まれる場合、ノーマルの設定だとうまくコンパイル出来ない。.texファイルがUTF-8なんだから、.bibファイルもUTF-8にそろえた方が無難って事で、
- Bibtexのオプションに-kanji=utf8をつける
- Bibtexの%.auxを%に変更