2015/07/05(Sun)dynabook R734のWindows 7クリーンインストール方法

2015/07/05 20:27 Hardware::PC
dynabook R734シリーズ(Windows 7 Professionalダウングレードモデル)にWindows 7をクリーンインストールする方法についてまとめておく。

環境

法人向けモデルのPR734KCN1R7AD71にて検証

Windows 7ダウングレードモデルとは

Windows 7ダウングレードモデルはWindows 8以降が発売された後も、企業向けなどの要望によりWindows 7をプリインストールしている機種のことを言う。
メーカーの経費節約だろうが、リカバリーディスクは大抵Windows 8しか付属していない。つまりWindows 7を復元したくば、プリインストールのWindows 7から自分でリカバリディスクを作る作業が必要になる。メディアが付属しているから壊れても大丈夫と思い込まないように注意が必要。

SYSPREPのバリエーション

メーカーによってリカバリの方法は様々で、今まで見た中だとこれくらいある。
  1. Norton Ghost等でイメージ化したCドライブを復元するタイプ
  2. 素に近いOSの状態をスナップショット化したイメージをWindows PE等で復元し、アプリケーションやモデル毎のカスタマイズを後から加えるタイプ
  3. OEM版のWindows インストールディスクとドライバ・アプリケーションディスクを付属して、自分でWindowsをセットアップ、ドライバー・アプリをインストールさせるタイプ
後ろの方ほど自由度が高いが、今回のdynabookは真ん中のタイプである。

dynabook R734のディスク構成

工場出荷時の時点(一度も起動していない)で、500GBのHDDは以下のような構成になっていた。(括弧内は使用サイズ/パーティションサイズ、パーティションタイプ)
  • System (0.2/1.5GB, NTFS Windows RE Hidden)
  • TI31235700D (16.23/449.1GB, NTFS)
  • HDDRECOVERY (14.52/15.15GB, NTFS, Active)
HDDRECOVERYにActiveフラグがついているのは、最初に電源を入れたときにWindows 7の32bit/64bitを選ばせる画面が出てきて、リカバリイメージを適用し直すからだと想定される。(最初にメインパーティションに展開されているのは32bit版みたい)

dynabookのSYSPREP

dynabookは数あるメーカー製PCの中では、リカバリー直後の初期導入アプリが少ない方だとは思うが、それでも不要なアプリやユーティリティーがあるので、それをbypassしたい。
一番簡単な方法としては、リカバリディスクを用いずに、別ライセンスのOSディスクを使ってクリーンインストールし、ドライバだけ後から組み込むという方法があるが、これを試すとドライバー組み込みの所で「このモデルではサポートしていません」で失敗するものが数多くあった。*1
このdynabookは、OSのリカバリーを行った後、ドライバやアプリケーションを自動的に組み込んでいく仕組みなので、その枠に外れた(非OEMライセンスのWindows)ものでは正しく動作しないのであろう。

方針としては、ドライバやアプリケーションを自動的に組み込むシステムを上手く騙して、自分の不要なものを組み込まれないようにすることで、クリーンインストールに近い環境にすることを考える。


まずOSのリカバリーをするところは手が出せないので、そのまま戻す。
C:\直下に
  • Room1048
  • TOSAPINS
  • TOSHIBA
  • tosutils
などのフォルダが出来ている。他にもProgram FilesにTOSHIBAフォルダがあったり、Windows\SysWow64\sysprepの中に色々展開されていたりと、既にカスタムが入っている状態ではあるのだが、見た目は殆ど素のWindowsだし、これ以上は真っ新の状態に戻せないので良いことにする。

で、リカバリが終わって初回起動すると、自動的にドライバとアプリケーションの組み込みが始まるわけだが、これの仕組みは非常に簡単。
C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup\B1.BATからインストーラがkickされるので、
  • 電源を入れてからデスクトップが出るまでShiftを押しながら起動するか
  • リカバリーが終わってからHDDを別のPCに繋ぎ、↑のbatファイルを削除するか
してから起動する。

B1.BATからは、以下のコマンドが叩かれる
start "Application Installation" /I /MIN C:\WINDOWS\SysWOW64\SYSPREP\HideCmd.exe C:\WINDOWS\SysWOW64\SYSPREP\BTOot.bat
で、HideCmd.exeはコマンドプロンプトを裏で呼ぶようなwrapperなので無視して、引数のBTOot.batを確認すると、ドライバ・アプリケーションのインストーラが走るのは以下の部分。
IF EXIST %PREPDIR%\CMPARMS.CMD CALL %PREPDIR%\CMPARMS.CMD
%PREPDIR%=C:\Windows\SysWOW64\sysprepなので、同じフォルダーのCMPARMS.CMDを確認すると、
for /D %%I in (%PREPDIR%\COMP*) do call :INSTCOMP %%I

 :
 :

:INSTCOMP
SET BTOAPP=%1
CD %BTOAPP%
if exist C:\NoHidd.TXT SET STRTIME=%TIME:~0,8%
CALL %BTOAPP%\RUNBTO.CMD
CD %PREPDIR%
SET XNOW=cls
%TOWAIT% 2

 :
 :
というような箇所があり、CALL %BTOAPP%\RUNBTO.CMDすることで、各インストーラがkickされる。
この%BTOAPP%は、%PREPDIR%\COMP*から1つ1つ展開されるものであるので、つまり、C:\Windows\SysWOW64\sysprep\COMP*\RUNBTO.CMDが順番に実行されているに過ぎない。


ということは、実行させたくないCOMP*フォルダを消してからB1.batを起動することで、インストール対象をカスタム出来るという事が分かった。

*1 : ミニマムインストールのWindowsにOEMライセンスを復元するというきわどい例もあり…

消すものは?

私のモデルには、以下の58個のCOMP*フォルダが存在していた。
順番に、中身のCOMPMSG.INIなどを開くか、アーカイバでTCxxxxxxxxxA.exeを開くと、何が含まれているかをだいたい想像することができたので、以下にまとめておく。
COMP004
OOBEのEULA設定、システムのプロパティのメーカー名セット
COMP005
UniversalInstall.vbsでモデル判定、Welcome Center、IEの信頼済みサイト設定、お気に入り追加、ホームページ設定
COMP121
Intel Chipset SW Installation Utility
COMP122
Intel Management Engine Interface
COMP123
Intel AMT Software
COMP124
Intel Display Driver
COMP125
NVIDIA Display Driver
COMP126
Intel Rapid Storage Technology Driver
COMP127
TOSHIBA Value Added Package(TOSHIBA System Driver、PC診断、バッテリーマネージャー、HWセットアップ、パスワードユーティリティ、パワーセーバー、Flash Cards(Fnキー表示)など)
COMP128
東芝壁紙(色んなモデルの画像がある。スクリプトで判定して選んで該当型番用のをコピーする)
COMP129
check DMI for Altair-UX10/Altair-MX10/Altair-LX10(多分関係無いけど、そのまま。判定だけして該当型番だったら、空のファイルを作ってるだけみたい)
COMP130
check DMI for Altair-SR10(同上)
COMP131
Realtek Audio Driver
COMP132
DTS Studio Sound
COMP133
Intel USB3.0 Driver
COMP134
CreateIrsInSSD.vbs(ディスクのHDD/SSDタイプ、容量、シリアル、リカバリーパーティションなんかを読んでる)
COMP135
Intel Rapid Start Technology Software
COMP136
Intel Wireless LAN Driver
COMP137
Atheros Wireless LAN Driver
COMP139
Intel Bluetooth Filter Driver
COMP140
Atheros Bluetooth Filter Driver Package
COMP141
Bluetooth Stack for Windows by Toshiba
COMP142
ALPS Pointing Device Driver
COMP143
Intel LAN Driver
COMP144
Realtek Card Reader
COMP145
O2Micro Smart Card Reader Driver
COMP146
TOSHIBA HDD Protection
COMP147
TOSHIBA Sleep Utility
COMP148
TOSHIBA Active Display Off
COMP149
TOSHIBA eco Utility
COMP150
スタートメニューにTOSHIBAのディレクトリを作成
COMP151
Intel NFC Software kit
COMP152
Intel Proset
COMP153
Intel(R) Smart Connect Technology
COMP154
TOSHIBA HDD/SSD Alert
COMP156
TOSHIBA PC Health Monitor
COMP157
TOSHIBA Fingerprint Utility
COMP158
TOSHIBA Web Camera Application
COMP159
TOSHIBA Blu-ray Disc Player
COMP160
TOSHIBA VIDEO PLAYER
COMP164
TOSHIBA Network Device ID Registry Setting Tool
COMP165
TOSHIBA Peakshift Control
COMP166
Intel Wireless Display
COMP168
東芝プロキシサーバー有効無効ツールと、TOSHIBA Disc Creatorを削除?
COMP170
東芝ユーティリティーのスタートメニュー ショートカット作成
COMP174
オンラインマニュアル
COMP179
Officeモデルかどうかの判定と、IMEのセットアップ
COMP180
Officeモデルかどうかの判定と、Office 2013のセットアップ
COMP181
Office UIのカスタマイズ?
COMP182
CheckCompo.txtに書いてあるコンポーネントの存在チェック?
COMP183
スタートメニューにアプリケーションの再インストール.lnk を作成
COMP184
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\pciideの修正(AHCIモードの修正?)
COMP185
TosVolRegulator(ボリュームコントロール)を自動起動に設定
COMP186
BatteryManagerのレジストリ変更(初回flagオン)
COMP187
初期導入アプリのアンインストールフラグ設定(修正/修復オプションを消す)
COMP188
デスクトップにショートカットを作ったり、要らないものを消したり
COMP189
デバイスマネージャのキーボードを日本語キーボードに修正
COMP190
WinSAT(Windowsシステム評価ツール)関連の処理

このうち削除したのは、明らかに不要な以下の8つ。
COMP005
UniversalInstall.vbsでモデル判定、Welcome Center、IEの信頼済みサイト設定、お気に入り追加、ホームページ設定
COMP128
東芝壁紙(色んなモデルの画像がある。スクリプトで判定して選んで該当型番用のをコピーする)
COMP148
TOSHIBA Active Display Off
COMP153
Intel(R) Smart Connect Technology
COMP158
TOSHIBA Web Camera Application
COMP160
TOSHIBA VIDEO PLAYER
COMP165
TOSHIBA Peakshift Control
COMP188
デスクトップにショートカットを作ったり、要らないものを消したり
この状態でインストーラを開始すると、母数が58個→50個になって処理が始まった。
「しばらくお待ち下さい。

システムを構成しています。2/50

インストールにはしばらく時間がかかります。
電源を切らずにお待ち下さい」
こうして、途中Windowsが何度か再起動しつつ、全てのドライバーと必要なアプリケーションのみがインストールされた状態で完了。

仕上げ

C:\Program Files\TOSHIBA\TOSAPINS\COMPS1以下に、TCxxxxxxxというインストーラが詰まったフォルダがあるので、不要な追加ソフトウェアのインストーラを削除する。
私が削除したのは以下。
  • Adobe Flash Player-11.9.900.117
  • Adbbe Reader-11.0.04
  • i-filter-6.00.24.0122
  • PC引越ナビ-4.1.4
  • PlayReader PC Runtime-1.3
  • QFE-KB976932 (Windows 7 SP1)
  • VirusBuster-7.0_B
  • Windows XP Mode-V1.11_JPN
いやー、久々にじっくりインストールの仕組みを追ってみたなあ…